2020年11月13日に東京オペラシティコンサートホールで行われました
東京シティフィル第338回定期演奏会に出演させていただきました。
歳を重ねるごと、思いを言葉にすることに時間を要しておりますが、
兎にも角にも、このような演奏会に参加させていただきましたことを
関係者の皆様に感謝申し上げたく文字にする次第です。
この度皆さんと演奏させていただきましたのは、Berg:Der Wein。
元々はBerg:Drei Bruchstücke aus der Oper “Wozzeck”の予定でしたが、
『クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン』や
会場の感染予防対策ガイドラインから曲目変更となりました。
今まで全くご縁のなかった曲ですが、幾つかいただいた曲目案を検討する中で、
最も興味を惹かれてしまい、今回はこの曲に取り組んでみますと返答しました。
冒頭の和音を聴いただけで、これはやらずにはいられないよなぁ・・と。
難曲の初出しということもあり、リハーサルや本番では、実際に音にしてみて知るこの作品の面白さに興奮し、
新たなに気づきに脳がバチバチと音を立てるような、演奏家冥利に尽きる3日間でした。
本番翌日も「次のリハではこうしてみよう」と、試してみたい発想の数々と共に頭の中を曲がグルグルグルグル・・
まるで「ぶどう酒」のひどい二日酔いのようでした!
底無しの魅力を有するこのベルクの作品を、卓越した演奏家の皆さんとのアンサンブルで初体験できましたこと、
また、ロシア「夕鶴」公演でも音を通じて温かくサポートくださった奏者の皆さん、
心ある対応をしてくださったスタッフの皆さま、稽古場の雰囲気を和やかにしてくださるピアノの巨瀬さん、
そして尊敬するマエストロが与えてくださる絶対的な安心感の中で、
この度もただただ音楽に集中させていただきましたことなど感謝は尽きません。
2019年ロシア「夕鶴」公演については、
これもまた、容易に言葉に表せない程の経験となったためにブログなどで多くをご紹介できなかったのですが、
ウラジオストクとサンクト・ペテルブルクでの計3公演を
高関マエストロとシティフィルの皆さんと演奏させていただくことができ、
カーテンコールで思いもかけずスタンディングしてくださっている客席を目にした時の
鳥肌の立つような思いを一緒に経験できましたことは、演奏家人生の宝です。
コンディションに最善を尽くすために、皆さんと多くの会話を持てたわけではありませんでしたが、
音を通し、多くのことを共有できたことは、今でも大きなエネルギー源となっています。
今回は新型コロナウィルス感染対策の正解が明確ではない中で、
リハーサルや本番で歌わせていただくことに複雑な心境もありましたが、
皆さんに何かあっては大変・・と、リハーサルではいつもより前方に立ってしまう私に、
すかさずスタッフの方々がお気遣いの声がけをくださり、心にしみました。
2月の広島『松風』以来、9ヶ月ぶりのオーケストラとの共演となりましたが、
感覚的なことをこれまでの経験で補いながら練習して迎えたリハーサル初日は、
感慨深いものでした。
久しぶりに側で聴く楽器の音。これまた感じたことを言葉にはできません。
今年は、またこれまでとは大きく異なる条件の中で鍛錬することになりましたが、
それによって新しい発見にも多く出会い、興味深く濃厚な一年になりました。
これら全てをまた日々の練習に繋げて参りたいと思います。
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